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SAiN

2024/12/27

【Featuring SAiN83[施主様からの特別寄稿]四季めぐる空気がうまい家】ことばの力 〜まだ、言えていない一言〜

朝晩の冷え込みが強くなってきましたが、昼間は暖かく感じられる日もまだたくさんあります。
もう十二月だと言うのに、赤や黄色の葉もまだ残されています。
もしかしたら、木々もこれまでの伝統的な習慣を守りつつも、環境の変化を感じているのかもしれません。

こうした木々の暮らしを見ると、我が家とも似ているなぁと感じる出来事がありました。



新しい環境での日々を送る次男に言いたいこと



今年度の四月からは、次男も高校生になりました。
高校生活では、「バスケットボールを一生懸命頑張りたい」と言うことだったのですが、少し問題だと感じることがあったのです。

その問題は、「部活が休みの日の過ごし方」です。

日々の練習がかなりハードな上に、部活が休みとなる日は滅多にありません。
ですから、その日くらいは、「ダラダラゆっくりと過ごしたい」という気持ちも良く分かります。
けれど、さらに良いプレイヤーになりたいのであれば、休日の過ごし方も重要だと感じたのです。

親としての、「もっと努力をしている姿が見たい」と欲が出てしまったのです。

「部活が休みの日でも、できることがあるやろ?」
「筋トレをするとか、身体を休める必要があるなら、バスケに関する本を読むとか…。
そういうこともやってこそ、本当の一生懸命じゃないのか?」

バシッと格好良く言いたかったのですが、私が中学生の頃に国語の教科書で読んだ「ことばの力(大岡信)」の内容をふと思い出したのです。



ことばの力とは?



大岡氏の言葉を借りると、こういうことです。

“ある人があるとき発した言葉がどんなに美しかったとしても、別の人がそれを用いたとき同じように美しいとはかぎらない。
それは、言葉というものの本質が、口先だけのもの、語彙だけのものではなくて、それを発している人間全体の世界をいやおうなしに背負ってしまうところにあるからである。”

確かにその通りで、京都で育ち、京都の街中で商いをしている知人に「おおきに」と言われると、なんとも感慨深いものがあります。
単なる京都の方言ではなく、歴史もなんとなくその一言に詰まっているように感じるのです。
ですから、それを私が真似て、いくら気持ちを込めて「おおきに」と言っても、知人の「おおきに」の足元にも及ばない気がするのです。

こうした感覚は、あなたもどこかで感じたことがあるのではないでしょうか。



「一生懸命やれ!」と言うために…



こんなことを思い出すと「一生懸命やれ!」なんて、簡単に言えないと思ったのです。
この言葉を言うのをグッと我慢して、しっかりと自分の身体を作りなおすことにしました。

「今更、そんなことしなくても…」

「もう五十歳でしょ。無理じゃない?」

なんて言われることもありましたが、八月中旬から現在にかけて、体の管理を徹底してきました。
幸いなことに、改めてこうしたことをやってみると、毎日の生活がとても楽しく感じられたのです。

<身体の変化>


2024年8月上旬2024年11月末
体重68kg61kg
ウエスト84cm76cm
腹筋の様子お腹が少し出ている軽く割れている


<日々意識したこと>
・筋トレを毎日する(20分程度)
・所用のための外出はできるだけ徒歩
・脂質はできるだけとらない
・食物繊維をできるだけ多くとる
・お腹が空いたら豆腐を食べる



まだ言えていないけれど



自分の身体の変化も嬉しいことですが、次男にも変化が見られるようになってきました。
現在、私はほぼ片腕で行う腕立て伏せを練習していますが、どうやら次男も密かに練習をしていたようです。

先日は、めずらしく私と次男の空いた時間が重なりました。

「父ちゃん、筋トレしよっか。」

こう声をかけられて、一緒に筋トレをすることになりました。

「ちょうど、Sainの原稿を書かないといけないし、写真は脱いだものにする?」

「ちょっといい感じに痩せたからって調子に乗ったらあかんわ。脱ぐのはまだまだ早いやろ。」

なんて偉そうに言われてしまいましたが、もう「一生懸命やれ!」と私が偉そうに言う必要はないのかもしれません。

一応、これで私の密かな目標は、達成できたのですが、年始には帰省した長男も交えて「腕立て勝負」をすることとなりましたので、まだまだ気を許す訳にはいきません。

発している人間全体の世界を背負ってしまう「言葉」の本質を体得するために、父は腕立てします。


さらに隠された小さな挑戦



こうしたトレーニングをする際、現代ではプロテインを摂取するのがもはや常識とされていますが、私は、一切、摂取していません。
伝統的な日本食を基本とした暮らしをすれば、しっかりした筋肉も手に入るだろうと考えているためです。

現代人の次男は適度にプロテインを摂取していますから、我が家の対決は、「日本の伝統食」対「近代加工食品」と言っていいかもしれません。
かなり大袈裟な扱いですが、こう思うと今夜の筋トレも楽しみになってくるのです。

父と子の対決は、
日本の伝統食と近代加工食品の対決でもある!?
果たして!?




京都府宇治市 渋谷浩一郎
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