




季節を描く◉秋の手作りアート
[モビール]
おもやの暮らし「季節を描く手作りアート」の2回目は、「モビール」。
モビールとは、紙や布、木の枝や薄い板など、軽い素材を糸や棒で吊るしてバランスをとった、吊り下げ式の飾りです。
吊るされたパーツが風や手で揺らされると、回転したり重なり合ったりしながら複雑に動いて、多彩な表情の変化を楽しむことができます。
古いものでは、デンマークの伝統的なペーパークラフトや、細い麦わらを糸で結んで作るフィンランドの「ヒンメリ」などもモビールの一種で、身近なものでは、赤ちゃんのベッドの上に吊るす知育玩具「ベビーメリー」などが知られています。
今では吊り下げ式のインテリアを総称して「モビール」と呼んでいますが、その名のもとを辿ると、1932年にアメリカの彫刻家で現代美術家のアレクサンダー・カルダーが生み出した「動く彫刻」に行き着きます。
このアートを、フランスの美術家マルセル・デュシャンが「モビール」と命名したのでした。
ゆらゆら揺れ動くモビールは、風を受けやすい軽めの素材で作るのがおすすめです。
秋の素材なら、落葉、どんぐり、松ぼっくり、枯れ枝など。
十五夜のお月さまやうさぎ、きのこなど、秋のモチーフを画用紙やダンボールで作ってみたり、デザインや色柄が気に入ってとっておいた包装紙や、子どもたちのお絵描きなどを素材にしてみるのも素敵です。
カルダーの動く彫刻「モビール」は、初めはモーターを動力にしていたそうですが、やがて風や空気の流れで揺れ動く構造へと変化し、ついには「自然の力」を使うモビールこそが、カルダーの代名詞になりました。
「風に揺れる動きを楽しむ」という点では、「風鈴」もモビールのひとつといえます。
そして風鈴といえば、あのりんと涼やかな「音色」が、心に優しく響いてきます。
モビールは、目には見えない風の姿を映し、自然のリズムで季節の音色を奏でます。
ふだんは気にも留めていない自然のものや、日常の暮らしの中にあるものが、結んで吊るすだけで、かたちや色味が際立ち、愛らしいアートに変身します。
みなさまの身近にある、この秋のセンス・オブ・ワンダーを見つけて、お楽しみください。
OMOYA LIFE Season2 [2026 AUTUMN vol.06]

準備するもの


◉飾り用の素材(軽めの素材がおすすめです)
〜モビールに向いている秋の素材〜
◎落ち葉
◎どんぐり
◎松ぼっくり
◎画用紙で作った秋のモチーフ
(お月様・うさぎ・きのこなど)
◎ドライフラワー
◎フェルトパーツ
◎薄手の布
◎クラフトペーパー など
◉飾りを結び付けて吊るす支柱(木の枝など)
◉紐(麻紐・縫い糸・テグスなど)
◉テープ
◉ハサミ
◉穴あけパンチ(または千枚通し)
◉ボンド(塗るときに「綿棒」を使うと便利)
◉ゼムクリップ など
本物の木の実や枝を使う場合は、重すぎるとバランスが崩れやすいため、小ぶりで乾燥したものを選びましょう。
赤や黄色の落ち葉、ブラウン系のクラフト素材をメインにすると、温かみのある秋らしい印象になります。
特にどんぐりや松ぼっくりは、コロンとした立体感が出るため、吊るしたときにとても映えます。
※自然の木の実や落ち葉を使う場合は、虫湧き防止のため、「あらかじめ水洗いしてしっかり乾燥させる」または「軽く茹でてから乾燥させる」といった下処理を行いましょう。
平面的な素材は、表裏の両面が見えるデザインにすると、裏返ってもきれいに見えます。
特に表裏で同じ形を2枚貼り合わせた紙パーツは、厚みが出てきれいに仕上がります。
組み立ては、必ず「下から上へ」。
上の段から作るよりも、きれいにバランスがとれます。
作り方


1:飾り用パーツを作る
画用紙や折り紙などを秋のモチーフや葉っぱなど好きな形に切り抜いて、上と下に穴あけパンチまたは千枚通しで小さな穴を開けます。
穴に紐(糸)を通して、それぞれの飾り用パーツをつなげていきます。

パーツごとに糸の長さを変えると、立体感が出ます。
紙などにくらべて重さのある松ぼっくりやどんぐりなどを下の方にすると、バランスがよくなります。




2: 支柱に飾り用パーツを結び付ける
いちばん下にしたい支柱の両端に、飾り用パーツに通した紐(糸)を結び付けていきます。
[POINT:支柱への紐(糸)の結び方]
◎2回、輪をくぐらせて結びます






3:支柱の「支点」に紐を結び付け固定する
支柱に飾り用パーツの結び付けが終わったら、支柱の真ん中あたりにバランスがとれる<支点>を探し、そこに別の紐(糸)を結び付けます。
[POINT:「支点」の探し方]
◎支柱の真ん中あたりを指の上にのせて水平になる「支点」を探します
◎「支点」の位置が決まったら、その位置に軽く紐(糸)を結び、実際に吊り上げてみて、水平がとれているように調整します
◎木の枝を支柱にする場合は、バランスをとるのが難しいので、だいたい水平になっていれば大丈夫です

水平のバランスがとれる「支点」の位置が決まったら、結び目をボンドなどで固定します。

4:下から順に上の支柱へつなげる
下の段から順に上の段の支柱へつなげていきます。
下の段の支柱の支点に結んだ糸を、上の段の支柱の一端に結び、もう一端に別のパーツを結んでバランスをとっていきます。
いちばん上の支柱の真ん中の支点に、吊り下げ用の長めの糸をつけます。
左右の重さが合わずにバランスがとれない時は、軽すぎる側にゼムクリップなどを挟むと調整できます。
全体のバランスを確認し、結び目を固定して完成です!

道端で、引き出しの隅で、ちいさい秋、いとしい秋、思い出の秋、いろいろな秋を見つけて、アートに変身させてみてください。



アート監修/制作
画家 篠崎 遥香 Shinozaki Haruka
茨城県下妻市出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了。
日本画画材を用いた作品を追究する傍ら、アートを通じて社会とのつながりを生み出す美術教育プロジェクトを展開。
現在は千葉県柏市を拠点に、社会に新しい気づきをもたらすアートプロジェクトを推進している。
instagram.com/haruka.shinozaki.2017/
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