



春の花[パンジー]
パンジーというと、鉢植えや花壇に咲いている印象が強いかもしれませんが、最近では茎の長い品種が出回るようになり、花器に生けて楽しむ切り花としても人気が高くなっています。
生産者の方々の創意工夫によって、色や形が新しい品種が毎年誕生しているパンジーは、白、黄、青、赤、紫などのほか、一つの花に複数の色が混じり合う「複色」などの豊富な花色に加え、フリル咲きや八重咲きなど咲き方も多彩です。
パンジーは、1800年代の北欧で、ヨーロッパに自生する野生種の「スミレ」を掛け合わせて生まれた一年草の園芸植物。
野に咲く「すみれ」は、日本でも古くから親しまれていたようで、『万葉集』にも「菫」を詠んだ句がいくつかあります。
パンジーの切り花には、蕾(つぼみ)もついています。
しおれた花を摘み取って蕾に養分が届くようにしてあげれば、蕾が咲きやすくなって、より長く楽しむこともできます。
たとえ同じ品種でも、一花ごとに個性的な表情を持っているのが、パンジーの素敵なところ。
色の出方やグラデーション、花びらのフリル具合などがそれぞれに異なり、一点ものの芸術品のような美しさがあります。
この春は、みなさまそれぞれのお好みにぴったりなパンジーを見つけて、心機一転の季節をチャーミングに彩られてみてはいかがでしょうか。
OMOYA Flower Arrangement
#04 [パンジー]

春のパンジーをいろいろ楽しむ


いろいろな種類があるパンジーは、それぞれに個性的な名前が付けられています。
今号のSAiNで使ったパンジーをご紹介します。
<写真上>
「銀河」(紫色)
「アプリコットシェード」(赤色)
「カルメン」(黄色)
<写真下>
「粋」(手前/右の紫色)
「パルム」(奥/左の紫と白の複色)
この春の「季節を飾る花のある暮らし」は、切り花のパンジーの楽しみ方を、3ステップでご紹介します。
パンジーを楽しむ3STEP

1:まずは水分補給
お花屋さんで買ってきたお花は、持ち帰るまでのあいだに水分不足の状態になっていることがあります。
花瓶に飾る前に、まずは水分補給。
以下の手順で行います。



◎余分な葉を取り除く
パンジーは葉が多いので、飾る前に下記のような余分な葉を取り除きます。
●花瓶の水に浸かりそうな低い位置の葉
●傷ついている葉
●しんなりしている葉
●大きな葉
葉を取り除くとき、茎が空洞で柔らかいため、軽い衝撃で折れてしまうことがありますから、力を入れすぎないように気をつけてください。
ハサミを使うと、より安心です。
◎切り戻し(水切り)する
切り花の茎を深い水に浸けて、水圧を利用して吸水を促す「深水(ふかみず)」という、ぐったりしている花にも効果的な水あげ方法をご紹介します。
<深水の方法>
・水を張った洗面器やボウルの中で茎を2~3cm切る
・そのまますぐに、葉より下の茎が浸かるくらいたっぷり水をためたバケツや花瓶に入れる
・そのまま2~3時間、直射日光や冷暖房の風があたらない場所で休ませる
お花の水分補給が完了したら、さっそく花瓶に生けましょう。
今回はガラスのピッチャーにたっぷりと生けます。

2:花瓶に生ける
◎下処理(余分な葉を取り除く)
水分補給のときにも余分な葉を取り除きましたが、葉が密集していると通気性が悪く蒸れてしまうため、一つの花瓶にたくさんの量を飾るときは、少し多めに葉を取り除きます。
ポイントは、水分補給のときと同じです。




◎手の中で軽く束ねる
片手に花を持って、もう片方の手のひらにパンジーを順番に重ねていきます。
ポイントは、「花どうしがぶつからない」距離や向きで重ねていくこと。
花が一輪ずつ綺麗に見える位置を確保できていれば、それだけで綺麗にまとまります。

◎花瓶に入れる
花瓶の高さに合わせて茎を切り、お花を入れます。
花瓶の水の量は「浅水(せんすい)」、茎が10cmほど浸かるくらいの水の量です。
<ご注意>
「◎手の中で軽く束ねる」工程に5分以上かかった場合は、茎の水が下がっている可能性がありますので、茎を2~3cm切り戻して、たっぷりの水に生けて水分補給します。
そのあと、花瓶の浅水に戻してください。

3:日々のお手入れ
こまめな「水替え」と「切り戻し(水切り)」で長持ちします。
花瓶に飾っているうちに水に浸かっている部分の茎が傷んできますので、時々は茎の色が変わっている部分を目安に長めに切り戻します。
パンジーには蕾も付いていますので、咲き終わったお花は摘み取ると、他の蕾が咲きやすくなります。


お手入れの途中で折れたお花や、取り除いたお花、長く飾っているうちに茎が短くなったお花などは、小さい花瓶やガラス瓶などに生け直して楽しむこともできます。

やや下向きに咲くその姿が物思いにふけっているように見えることから、フランス語で「思考」「思想」などの意味をもつ「パンセ/Pensée」にちなんで名付けられたという「パンジー」。
クリスマスローズやデイジー、椿など、お庭の植物と組み合わせて飾ってもかわいいです。

ヨーロッパの野に咲くスミレから生まれたパンジーは、春の野の花などと組み合わせてもチャーミング。
フラワーデザイン 阿部 すみか
福岡県福岡市出身。専門学校にてフラワーデザインを学んだのち、株式会社日比谷花壇に入社、ショップやウエディングの経験を積む。
2023年に独立 し、その年の立冬に「まどろみ」オープン。
https://madoromi2023.theshop.jp
