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最終更新日: 2024年6月27日
漆喰の塗り方は? 手順や必要な道具、きれいに塗るポイントを解説
「漆喰を塗りたいけど、初心者でもできる?」
「漆喰の塗り方の正しい手順は?」
漆喰を使ってDIYに挑戦したいと思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
ただ、漆喰を塗るのは難しく、色ムラが出てしまったり、滑らかに仕上がらなかったりと、失敗した話を聞くと躊躇してしまうかもしれません。
そこで今回は、漆喰の塗り方について詳しく解説します。
本記事では、漆喰の基礎的な知識からきれいに塗るポイントや注意点まで紹介します。
漆喰塗りに挑戦したい方は、ぜひ参考にされてみてください。
この記事でわかること
漆喰は消石灰を主原料にした壁材で、調湿や消臭などの効果がある
漆喰を塗る際には、コテやコテ板、マスキングテープなどの道具を揃えなければならない
漆喰をきれいに仕上げる具体的な手順
目次
漆喰の基本的な塗り方は?
漆喰は、住宅に用いられることの多い素材で、消石灰(水酸化カルシウム)を主原料とした壁材です。
防火性の高い素材で、古くからお城や武家屋敷の壁、土蔵などに使用されてきました。
漆喰には、調湿効果や消臭効果などのさまざまな効果があるため、現在でも、壁や天井の仕上げに使われることも多い素材の一つです。
漆喰を塗る道具は、基本的にコテを使います。
きれいに仕上げるためには、ある程度の経験が必要になりますが、仕上げに多少目をつぶるのであれば、初心者でも挑戦できる素材です。
上手く仕上げるためには、事前に「壁の下地が何でできているのか」「塗る面積はどのくらいか」などのことをしっかり調べておくのも大切です。
塗りたい壁や天井が以下のような素材であれば、漆喰で塗ることができます。
- ビニールクロス
- 砂壁
- 繊維壁
- モルタル
- コンクリート
- 石膏ボード
また、壁や天井の面積をしっかりと調べ、必要な漆喰の量を事前に把握しておきましょう。
必要な漆喰の量を求めるために必要な壁や天井の面積は、以下の計算式で求められます。
<必要な漆喰の量を求めるための計算式>
- 壁幅×壁高さ=壁面積
- 窓幅×窓高さ=窓面積
- 壁面積-窓面積=塗る面積
- 壁幅×壁幅=天井の塗る面積
壁や天井面積は、住宅の平面図や立面図にある数値で計算できます。
漆喰の塗り方によっても必要量は異なります。
作業途中に漆喰が足りなくなることのないように、少し多めの量を用意しておきましょう。
本漆喰はDIYで塗るのが非常に難しい
「漆喰」といっても、実は複数の種類があり、本漆喰や土佐漆喰、他にもメーカーが製造した漆喰調の壁材などさまざまあります。
「本漆喰」は、消石灰に海藻(ふのり)とスサなどを加えて昔ながらの製法で作られる建築材料です。
それ以外に発酵させたワラを混ぜたものが「土佐漆喰」、粉末海藻のりや炭酸カルシウムなどを配合して製品化されたれたものが「漆喰調」と呼ばれています。
自然素材でできている本漆喰は、価格も高く取り扱いも難しいため、DIYで使用するのは非常に難しい素材です。
時間をかけて技術を習得するよりも、製品化された漆喰調の素材を選ぶことをおすすめします。
漆喰の塗り方 ① 塗り方の違い
漆喰の塗り方には、ローラーで塗る方法とコテで塗る方法があります。
それぞれどのような違いがあるのかを理解して、どちらの方法で塗るかを検討しましょう。
ローラーで塗る漆喰の特徴
ローラーで塗る漆喰の大きな特徴は、手軽に使用できる点です。
水で練るなどの下準備なく、塗るだけで完了するため、初心者でも取り扱いやすい壁材です。
施工費用を安く済ませられ、熟練した技術がなくても簡単に塗装できます。
ただし、ローラータイプの漆喰は原料に消石灰がほとんど含まれない製品も多く、中には成分表に「消石灰」の記載がないものさえあります。
また、ローラーで塗れるように液化しているため、漆喰の主な効果である調湿や消臭効果も期待できません。
その点を踏まえた上で、DIY初心者で、ちょっとしたスペースを塗装したい場合には、ローラータイプのもので試してみるといいかもしれません。
ローラーで塗る漆喰は、下準備にはある程度「慣れ」が必要ですが、特別な技術は必要としません。
これまでの職人さんベースでの施工だけでなく、DIYなどの需要にも対応できることがメリットです。
コテで塗る漆喰の特徴
コテで塗る漆喰は、塗り方次第でさまざまな模様をつけられる特徴があります。
漆喰を塗り重ねるラフ仕上げや扇状に仕上げる扇模様など、さまざまなパターンの仕上げが可能です。
また、コテで塗りこむため厚みを持った壁に仕上げることが可能で、漆喰の効果を最大限に高められます。
ただし、ある程度の熟練度が要求されます。
下地処理なども必要となるため、短時間で作業を仕上げたい人には向きません。
また、ローラータイプのものよりも費用がかかる点にも注意が必要です。
コテで塗る漆喰は、より自然の風合いが楽しめます。
人の手によるランダム性が躍動感や動きを生み、生物的な印象がさらに深まっていきます。
見た目にも飽きを感じさせないので、長く愛でることができますよ。
漆喰の塗り方 ② 必要な道具一覧
漆喰を塗る際には、いくつかの道具が必要です。
作業途中に足りないとなれば、作業が中断されてしまいますので、事前に準備しておきましょう。
<漆喰を塗るための道具>
- コテ(漆喰を塗る道具)
- コテ板(漆喰をのせる板)
- 刷毛(仕上げに使用)
- マスキングテープ・養生シート(床や家具などを保護するために使用)
- 手袋(布製ではなくゴム製のもの)
- マスク・ゴーグル(漆喰を吸い込んだり、目に入ったりするのを防ぐ)
- バケツ(漆喰を作る際に使用)
主な道具は、ホームセンターやネット通販でも入手できます。
初心者向けにセット販売されているものを購入すれば、買い忘れを防げます。
コテの種類
漆喰を塗る際には「コテ」が必須道具です。
「コテ」といっても、ステンレス、木、プラスチックなどのように材質でさまざまな種類があります。
材質による主な違いは「仕上がり」です。
ステンレス製はナチュラルな仕上がりになり、木製の場合は野趣あふれる力強い仕上がりにできます。
他にも本焼のコテなどもありますが、初心者の方はステンレス製のものを選ぶことをおすすめします。
プラスチック製のコテは、安価ですが強度がなく折れやすいため、注意してください。
コテの大きさにも違いがあるため、210ミリ、240ミリ、270ミリなどサイズが様々です。
大きいほど早く仕上げられますが、慣れないうちは扱いが難しく、逆に時間がかかってしまう場合もあります。
どの大きさを選ぶかは、個人差があるため、売り場などで直接手に取って確認してみてください。
どれが良いか分からない場合は、210ミリのコテがおすすめです。
漆喰の塗り方 ③ 塗る手順
必要な道具が揃ったら、漆喰を塗る作業に取りかかりますが、いきなり壁に塗るわけではありません。
必要な手順がありますので、順番に確認していきましょう。
塗る手順① マスキングテープで壁の周りを養生する
まず、マスキングテープで壁の周りを養生し、漆喰を塗る部分以外が汚れないように防ぎます。
塗装において養生は「養生8割、塗り2割」と言われるほど大切な作業です。
漆喰を塗っている途中でテープが剥がれたりすることがないように、しっかり貼りましょう。
塗る手順② 部品を外す・カバーを付ける
漆喰を塗る範囲にコンセントや照明器具がある場合は、部品やカバーを外しておきましょう。
カバーを外す際には、ドライバーなどを使用しなければならない可能性もあるため、事前に用意しておいてください。
また、カバーを外した後のネジをなくさないように注意が必要です。
部品やカバーを外す前に、電源は必ず抜いておいてください。
外したネジなどは、どの部分だったか分かるようにメモしておくことをおすすめします。
部品を外した後は、周辺を養生テープで保護しておいてください。
テープを貼る際には、隙間ができないように気をつけましょう。
塗る手順③ 漆喰を作る
漆喰には、「粉漆喰」と「練り済みの漆喰」があります。
どちらもホームセンターやネット通販で入手可能です。
練り済みの漆喰を購入された方は、この手順を飛ばしていただいてかまいません。
練り済みの漆喰は、すぐに使用出来たり、ムラがなかったりするメリットがあります。
粉末状の漆喰は、水と漆喰を混ぜ合わせなければならず、手間がかかりますが、その分コストを抑えられ、必要な分だけ使用できるのがメリットです。
粉末状の漆喰を使用する場合は、容器に漆喰と水を入れて、混ぜ合わせていきます。
混ぜる容器はバケツなどでかまいません。
撹拌機で混ぜ合わせると、比較的楽に漆喰を作れます。
手動で混ぜ合わせる場合は、練り棒やスコップなどを使うことをおすすめします。
バケツなどに、まず粉漆喰を入れ、そのあと水を入れていき、混ぜ合わせます。
必要な分量は製品の裏などで確認しましょう。
ただし、季節や天候によっても変わるため、注意が必要です。
水を少しずつ加えて、様子をみながら作成しましょう。
粉漆喰は、しっかり混ぜ合わせないとダマや色ムラの原因につながるため、注意が必要です。
また、攪拌している最中に漆喰が飛び散って、目などに入らないように気をつけましょう。
塗る手順④ 下地処理
漆喰ができてもすぐに塗り始めるのではなく、必ず下地処理をしましょう。
下地処理とは、壁の汚れやホコリを取り除く作業です。
下地処理を怠ると、漆喰の接着が弱くなり、はがれてしまう原因につながります。
壁紙が残っている場合は、カッターなどでしっかりとはがしておいてください。
また、穴や亀裂がある場合は、粘土などで穴の開いた部分を塞ぎ、凹凸部分をなくしておきましょう。
しっかりとした下地処理は、壁の表面を平滑にし、色ムラを防ぐことにつながります。
塗る手順⑤ 下塗り
下地処理が終わったら、専用の下塗り剤を用意し、壁全体に下塗りします。
漆喰の下塗りは、下地の段差をなくし、仕上げの漆喰を塗りやすくするために行います。
塗り方の基本は、縦方向に伸ばし、それがいくつかできたら横に馴染ませていきます。
この時、右利きの方は右に、左利きの方は左に進んでいくのが基本です。
下塗りでしっかりとコテの使い方を練習し、コツをつかんで、本番の仕上げ塗りをきれいに仕上げられるようにしていきましょう。
塗る手順⑥ 仕上げ塗り
下塗り材が乾いたら、仕上げ塗りを行っていきます。
仕上げ塗りの作業を適当にしてしまうと、色ムラになったり、漆喰が剥がれやすくなったりする原因につながりますので、丁寧に作業しましょう。
仕上げ塗りの塗り方は、下塗りのコテ跡を抑えるように平坦に仕上げてもいいですし、コテを好きなように動かして、わざとコテ跡を残してラフに仕上げる方法もあります。
ただし、あまり時間をかけすぎると漆喰が乾いてしまいムラが出てしまうため、注意が必要です。
仕上げ塗りが完了したら、乾くまで待ちましょう。
天候によっても異なりますが、通常は夏であれば施工後12時間、冬であれば24時間程度で乾燥します。
漆喰の塗り方 ④ 漆喰をきれいに塗るポイント・注意点
漆喰をきれいに塗るためには、いくつかのポイントや注意点があります。
一つずつみていきましょう。
コテは大きく動かし面で塗るイメージ
漆喰の塗り方で、大切なのがコテの使い方です。
コテは大きく動かし「面で塗る」イメージで行っていきましょう。
そうすることにより、ムラのない滑らかな仕上がりとなります。
最初からうまくできなくてもかまいませんので、小さな面から少しずつ練習していきましょう。
一度に作業を完了させようとせず、時間をかけて丁寧に進めていくことをおすすめします。
換気と室温を管理する
漆喰を塗る際は、作業行程だけでなく、乾燥させる際の換気と室温管理にも注意が必要です。
漆喰は、通常24時間(夏の場合は12時間)程度で「表面」乾燥しますが、空気中の二酸化炭素と反応して時間をかけて硬化していくため、完全に硬化するためには1週間前後かかります。
そのため、漆喰を塗った後も、1週間ほどは換気と室温管理に気をつけましょう。
乾燥期間中は10℃以上に保つようにしてください。
湿気の発生しないエアコンで室温管理するのがおすすめですが、漆喰に直接温風があたらないように注意してください。
漆喰は強アルカリ性のため扱いに注意
漆喰の主原料は、消石灰(水酸化カルシウム)で、強アルカリ性の壁材です。
アルカリ性はタンパク質を溶かす性質があるため、肌や目に触れると炎症を引き起こす可能性があります。
作業中に漆喰が手に付着してやけどのような症状を引き起こしたり、軍手から漆喰が浸食してしまい指が変色したりするような事故も起こっています。
漆喰を塗る際には、ゴム手袋や保護メガネを着用し、漆喰が皮膚などに付着した場合は、水道水でしっかりと洗い流すようにしてください。
痛みを感じた場合などは、医療機関で医師の診療を受けましょう。
アワが出たら再度コテで押さえる
漆喰を塗っている最中に空気が入り込んでしまうと、アワが出てくる場合があります。
アワが残ったままでは、表面に凸凹が残り滑らかな仕上がりにはなりません。
アワが出た場合は、再度コテでおさえれば、アワは消えます。
全体を塗り終わった後に、アワが出ている箇所がないかも確認しておきましょう。
マスキングテープ・養生は漆喰が乾燥する前に剥がす
漆喰を塗る前に貼ったマスキングテープや養生シートは、漆喰が完全に乾燥する前に剥がしてください。
漆喰が乾いた後に剥がそうとすると、テープと一緒に壁に塗った漆喰まで剥がれてしまうからです。
漆喰が乾いてしまっている場合は、無理やり剥がすのではなく、カッターでテープを切ってから、ゆっくりと剥がしていきましょう。
漆喰をきれいに塗るポイントは、丁寧に仕込みをすること。
無理に一度で仕上げようとせず、重ね塗りをしながら、乾きのスピードや密着度合いを可能な限りコントロールするように意識してみてください。
まとめ
ここまで、漆喰を塗る際に必要な道具や具体的手順を解説してきました。
漆喰は、調湿や消臭効果などもあるため、人気の素材です。
漆喰を塗るのは、初心者でも可能ですが、必要な道具や手順を理解しておかなければいけません。
きちんとした知識があれば、初心者でもきれいに仕上げることが可能です。
記事の内容を参考に、ぜひ挑戦してみてください。
この記事のまとめ
漆喰は消石灰を主原料にした壁材で、調湿や消臭などの効果がある
漆喰を塗る際には、コテやコテ板、マスキングテープなどの道具を揃えなければならない
漆喰をきれいに仕上げる具体的な手順
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浦上 日章
うらかみ にっしょう
1979年熊本県上天草市生まれ。有明海と八代海にひらけた晴れやかな自然が美しい島で育つ。
2004年、カイケンコーポレーション株式会社設立に伴い専務取締役に就任。2023年7月、同代表取締役。
企業理念「地球環境蘇生」のもと、共感とご縁のある方々と力を合わせ、自然の恵みをよりよく未来へ繋げるよう、一歩一歩前進中。