暮らしと自然に向き合う家
若葉が青々と茂る木々の木陰を通り抜け、坂を上っていった先に見えてくるのが、和風建築の黒く凛とした建物でありながら、自然ととけあう静かな佇まい。
教員をされていたご夫婦の二人暮らしです。
桜の花でいっぱいになるウッドデッキ
まず目に飛び込んでくるのは、斜面にせり出すように建てられたウッドデッキです。
「ここは本当にいいですよ」と、ご夫婦がそろって口にされます。
2脚の椅子と小さなテーブルが外向きに置かれていました。
桜の木がデッキの上に覆いかぶさるようにして、今は瑞々しい若葉で木陰をつくっています。
春は、ここが桜の花でいっぱいになるのだそう。
玄関を入ると、お客様用の入り口と、右手ののれんをくぐった先に土間続きでキッチンへとつながっています。
自然が身近なご夫婦ならではの工夫です。
リビングの吹き抜けを見上げると、どっしりと渡してある立派な丸太の梁が圧巻です。
お気に入りは、小屋裏収納
「私のお気に入りは小屋裏の収納なんですよ。なんでも入っていいです。人が来たときは一番に自慢するんですよ」と奥様。
元々はつくる予定のなかった収納ですが、工事途中にご夫婦のご希望で急きょ小屋裏に板をはり、収納スペースにしてもらったとのこと。
季節ものなどを入れておくのに、とても便利です。
(写真は小屋裏収納の入り口)
自然とともに暮らし、自然な経年変化を楽しむ
気持ち良く風が通るウッドデッキに面した窓を開け放ち、飼い猫も自由に外から行き来しています。
「猫には、杉のこのやわらかい床がいいみたい」とおおらかにおっしゃるご夫婦。
杉はやわらかく傷つきやすいとはいえ、その年輪の模様やうづくりのおかげで目立ちにくく、自然な経年変化を楽しむことができます。
「夏はエアコンがいりませんよ。冬もエアコンはつけなかったな」
薪でお湯を沸かし、お風呂、台所仕事、そしてそのお湯を温風に変えて室内の暖房にも利用されています。
便利な世の中ですが、当たり前の営みとして、自然とともに暮らし、それを楽しんでおられました。
「桜やあじさいの季節もいいですし、バラ園もつくりました」
御主人がレンガを敷き、見事なバラ園をつくっていらっしゃいました。
もう少しすると、見ごろになるそうです。
ご夫婦の広大なお庭は、まるで植物園のように丁寧にお手入れされ、お二人の愛情がたっぷり注がれた植物たちは、みな生き生きとしていました。