建築家である自分自身が求めていた本物の自然素材で造る「空気がうまい家」
「空気がうまい家」との出会い
私は、祖父が創業した国東建設の2代目の社長の長男として1982年に国東市に生まれ、生まれ育った環境から、大学は建築科へ進学し、卒業後は設計事務所へ就職しました。
設計事務所での仕事は日々忙しく、図面作成に追われる毎日が続いていましたが、大学生のころにアルバイトをしていた飲食業にずっと興味があり、設計事務所を辞めて、大手飲食店のコンサルを行う会社に転職しました。
仕事はとても楽しく、どんどん飲食業の楽しさにのめりこんでいき、最終的には独立して、28歳で東京で自分のお店を4店舗経営するまでになりました。
人生の転機
飲食店の経営も軌道に乗り、30歳を迎えたときに自分の将来をいろいろ考えました。
そのとき祖父が創業した国東建設を、今後自分が何とかしなければという思いが強くなり、国東へ戻る決心をしました。
最初は、現場の仕事を覚えるところからのスタートでした。
職人さんたちに囲まれれながら修行の毎日で、大変ではありましたが必死に頑張り、2年が経つ頃、なんとか自分で新築の仕事を請けることができるようになりました。
それから数年、当時(2016年ごろ)は、自分なりにお客様へ無垢材や漆喰の提案をしながら、「少しでも住む人にとっていい家を作りたい」という思いで頑張っていました。
流行り廃りがあるような表面上のものではなく、本質を大切にした家づくりに対しての想いが強くなっていた頃、社長である父から、鹿児島へKAIKENの工場と「空気がうまい家」のモデルハウスを見に行こうと誘われました。
私自身も、はじめは「どんなもんだろう?」という軽い気持ちで鹿児島へ向かいました。
周り一面を森に囲まれたさつま工場へ到着し、ゲストハウスの扉を開け、玄関の中へ入ったとき、言葉では表せないほどの杉の木の心地よい香りと、真壁づくりの洗練された空間に衝撃を受けたのが、初めての「空気がうまい家」との出会いです。
当時自分たちを迎え入れてくれた、KAIKENコーポレーションの浦上社長からは、なぜこのような素材づくりを行うのか、なぜこのような材料が現在の家づくりに必要なのかという深いお話を伺い、 「自分がやっていきたい家づくりはこれだ」と確信しました。
それから数か月後、自分自身が「空気がうまい家」を建てたいという思いが強くなり、自分で「空気がうまい家」の自宅兼モデルハウスを作ることにしました。
設計のこだわり
まずは、昔からの「真壁づくり」の家にこだわりました(「真壁づくり」とは、昔ながらの柱が壁の表に見えている作りです。対して「大壁づくり」では、柱が壁の中に納まっているつくりです。現代の住宅は「大壁づくり」がほとんどです)。
真壁の場合は、一般的な3.5寸(105cm)角の柱ではなく、4寸(120cm)角を使用します。
費用は少し高くなりますが、その分、構造は強くなります。
構造的に強いだけではなく、木材が表に出ていることで木材自身にとって環境がいいことと、人間にとっても、調質の効果や自然の木目の安らぎ、生きた杉がもたらす免疫力向上の力など、数々の恩恵を受けることができます。
この木造軸組み工法は、代々受け継がれてきた伝統的な工法で、長い歴史の中ですでに完成しているすばらしい技術です。
一般的に条件が悪いといわれる土地でのプランニング
次に、土地の問題がありました。
新築をしようとした土地は、南側に2mの擁壁があり、その擁壁の上に住宅があって、両隣にもすでに家が建っている状態で、一般的には条件が悪い土地でした。
この条件下で、いかにいい家を設計するかを考えました。
南側向きのリビングは諦め、北側に玄関と、東側に「庭」を配置するプランを考えました。
雨の日でも車からそのまま荷物を運べるように、勝手口を付けました。
勝手口の奥には物置も作りました。ものすごく便利です。
朝は、庭がある東側から太陽の光を取り入れ、日中は北側の2階に設置した大きな採光の窓から光を取り入れることにしました(2階からの光を取り入れるため、リビングを吹き抜けにしました)。
北側からの採光の利点として、一日中安定した光を取り入れることができます。
南側を背にした対面キッチンは、音響熟成木材(無垢材)を使ってオーダーで作っていただいたL字型のキッチンです。天板も同じ木材です。
一度焼いて炭化させてから磨くという非常に手間をかけた、黒の音響熟成木材を使っています。
塗装ではない、味のある色合いが気に入っています。
無塗装なので手触りがとても気持ちがいいです。使っていくうちに風合いが出てきます。
世話をしていくうちにどんどん愛着がわいてきた庭
東側には、いつも自然を身近に感じられるように庭を作りました。
はじめは、正直に言って庭にはそこまでこだわりがなかったのですが、いざ庭を作って日々植物のお世話をしていると、どんどん愛着がわき、好きになりすぎて、今では木を自分で買い付けに行き、仕事として植栽の作業ができるまでになりました(笑)。
世話をするのは正直大変ですが、それ以上のものを得ることができています。
一番お気に入りのリビング
ソファを置いているところは、間接照明をうまく使って、夜にゆっくり映画を見たり、くつろいだりできる空間を作りました。
ソファも本棚も、オリジナルで造ったお気に入りです。
一緒に住んでいるトイプードルのマロンちゃんも一緒です。
一日の疲れをしっかりとってくれる寝室
ぐっすり眠れて、一日の疲れをしっかりとってくれる寝室です。
すべての窓から緑が見えるように、庭木を配置しています。
奥様が使いやすいように設計した洗面・脱衣所
洗面・脱衣所エリアは、ホテルや旅館のように、妻の使いやすさを考えて椅子を設置して、座りながら身支度ができるように設計しました。
お手洗いも広々です
幻の漆喰の消臭効果のおかげで、芳香剤などは全く必要ないです。
温泉のような気分を毎日味わえるお風呂
そして、お風呂は、壁と天井に音響熟成木材(赤身材)を使っています。
通常、家では味わうことができない、温泉のような気持ちよさを毎日味わうことができます。
朝と夜、毎日使用していますが、本当にきれいなままです。
1階の北側の奥は和室です。
今はペットたち専用のお部屋になっています。
こちらも幻の漆喰の消臭効果のおかげで、ペット臭はほぼありません。
2階には第2リビング(フリースペース)
2階でもゆっくりくつろいだり、趣味の観葉植物や陶器などをたくさん飾っています。
2階の個室は仕事部屋
ここでの仕事は気持ちがよくて、はかどります。
奥には収納スペースもあります。
「空気がうまい家」で暮らしてみて
これは本当に暮らしてみないとわからなかったことですが、もともと自分自身、花粉症がひどかったのですが、この空間にいるときは快適です。
「音響熟成木材」と「幻の漆喰」の空間は、気持ちがいいです。
それと環境のおかげか、観葉植物がものすごく元気です。
夏の暑さや冬の寒さに関しては、5年半過ごしてみて、エアコンはほぼ一台のみの稼働です。
夏は、無塗装の音響熟成木材のフローリングの足ざわりがさらっとしていて、とても気持ちいいです。
冬は、暮らしの暖かい熱を木材がうまく蓄熱してくれているので、はだしで生活していますが、全く問題ない暖かさです。
アトリエパークの建築へ
建築の仕事は、今では自分にとって好きなことの延長線上にある感じです。
最近は趣味でカメラにもはまっていて、「ライカ」をはじめとする、昔からの名機、特にフィルムカメラを好んで使用し、フィルムは自家現像して、自家製の暗室で、銀塩プリントまでしています。
「ライカ」は世界的に有名なカメラなのですが、なんと1964年に誕生したときの形ですでにカメラとしての完成形であり、60年近くたった今でも、形を変えないまま、世界中のカメラマンがあこがれる現役のカメラです。
本物は時代を超えても価値が変わらない。そういう魅力を感じています。
私は「空気がうまい家」も、この「ライカ」のカメラのように、昔から長い年月をかけて受け継がれてきた「伝統軸組み工法」は普遍的なものであり、完成された本物だと思っています。
そこに、混ざり物がない、純な自然素材のみでできた「音響熟成木材」と「幻の漆喰」が加わることで、素朴で優しい空間ができるのだと思います。
一ユーザーとして住んでいる自分としても、この空気がうまい家の気持ちよさを身近に体感していただきたいという思いで、昨年、家から車で数分のところにある、樹齢数百年といわれる御神木がある琴平宮の隣の土地に、みんなが自由に利用できる公園のように庭をおおきくつくった「アトリエパーク(空気がうまい家 事務所兼体感ルーム)」を作りました。
お近くの方は、ぜひ遊びに来てください。
(国東建設ホームページよりお問い合わせください。下記にリンクがあります。)
最後に
これから自然素材で家をつくりたいと思っている方々に、少しでも参考になればうれしいです。