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てまひま

 「手間」 手を動かして労働を行う作業
 「暇」 時間を表す言葉

 「手間暇」とは労力と時間のことで、シンプルに表現すると、時間を掛けて良いモノを作る行為として用いられることが多い言葉です。

 「手間」は「仕事を仕上げる労力」、「暇」は「時間」のことをいい、手慣れた人の手際の良い作業を表しており、まだ作業に慣れていない人が仕事に時間を掛けることに関しては「手間暇を掛ける」という言葉は用いません。

 類似的な言葉には「手塩に掛ける」(自ら面倒をみる)や「丹精を込める」(真心を込めて行う)などがあります。

 じっくりと丁寧に時間をかけて行う、ということを表わしつつ、その丁寧さだけではなく、気持ち(魂)もしっかりと込められているので「てまひま」をかけて出来たモノには、やはり相応の価値があるといえます。

 また、得てしてそのように生み出されたモノには、瞬間的な流行などとは異なり、多くの人に長い年月を掛けて感動を与え、大切に見守られながら、愛され続けていくという特徴があります。

 「てまひま」とは、システム的な均一性ではなく、人の呼吸や温度、意識や思いが揺らぎとなり、手を掛けた痕跡としてモノや人々の心に宿っていく、唯一無二を誕生させるために、必要不可欠なコトだと考えます。

 そしてその思考の根本に、私たちが暮らすこの素晴らしい地球環境を守り抜く、という壮大なテーマが紐づいているのだと思っています。

 環境を壊すのは一瞬かもしれませんが、いわば自然環境という生命を守っていく為には、とても大きな思いのエネルギーが必要です。

 その思いを人から人へと継承していき、永続的に繋げていくことができれば、私たちはこれからも地球からたくさんの恩恵を与えられ、感謝の気持ちで日々の暮らしを営んでいけるのではないでしょうか。

 ゴールや解答は存在しないけれど、普遍的な美しさで私たちを魅了してくれるのが、この地球環境です。

 まずは目に映る範囲の「てまひま」からたくさんの気づきを集め、それを皆と共有し、未来の地球へリンクさせていけたらと思います。

浦上 日章

Text by Urakami Nissho