モノと記憶の
結び付き~サステナブルを考える~
ミナペルホネンの創設者、デザイナー・皆川明さんへのリスペクト回。
SAiN73号では、皆川明さんの展覧会「つづく」で出会った言葉たちをご紹介いたしました。
その後も何度か思考のメッセージに触れる機会があり、業界は違いますが、哲学としてボンヤリと見えていた私達の目指す方向性に、具体的なナビゲーションが備わっていくような、思考が整理される感覚を体感しています。
「共感の先の大量生産」
同じモノの品質を向上させながら継続して作り続ける。最初は少ない量でも、徐々に、そして着実に共感の輪が広がっていった結果、生産のリクエストが増えていく。そうして長い年月を積み上げた上での大量生産であれば、技術はもちろん、社会や地域の発展を循環させていく流れが生み出されていきます。
「モノに宿る記憶への共感」
なぜデザインしたか、なぜ生まれたか、その背景や物語、その記憶が刻まれているからこそ、愛着が生まれ長く使い続けることができる。
そして別の誰かがモノに宿る同じ共感性のある記憶と出会ったとき、また新たな繋がりが生まれ、違う時間軸での記憶や物語が動き始めます。
「サステナブルを考える」
一つのモノを大切に長く使い続けることは、それだけで消費を抑えることに繋がります。リサイクルできること、リメイクできること、それと合わせて総合的に考えていくことが、本当の意味でのサステナブルな社会を形成していくのではないかと思います。
私達カイケンも、モノを生み出すメーカーとして、いつの時代にも調和し、そして長く愛されるような、普遍的な価値の創造を丁寧に見据えながら、私達なりのサステナブルの在り方を模索し、未来の環境を守ることへと繋げていきたいと思います。
皆川 明 さん Minagawa Akira
流行に左右されず、長年着用できる普遍的な価値を持つ「特別な日常服」をコンセプトに、ものづくりを続けるブランド「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」 のデザイナー/創設者。
手作業の図案によるテキスタイルデザインを中心に、衣服、家具、器、空間など、日常に寄り添うデザイン活動を行われています。
浦上 日章
Text by Urakami Nissho