お知らせ
SAiN
2025/03/31
【Featuring SAiN84[施主様からの特別寄稿]四季めぐる空気がうまい家】見失いつつある当たり前
-scaled.jpg)
今年の1月は意外と暖かい日も多く、「このまま春がやってきてくれたらいいなぁ」なんて思ったものですが、そう簡単に春はやってきませんでした。
2月には京都でも久々に雪が積もり、車を運転するときになって、「しまった! 窓ガラスが凍っている!」なんてこともありました。
10年くらい前は、冬に車に乗るなら、少しお湯をもって外に出るのが当たり前だったのに、今では、すっかり「お湯をもって出る」という感覚は無くなってしまいました。
敗北した腕立て伏せ対決
お正月には、高校生の次男と腕立て伏せの耐久勝負を行いました。
残念ながら敗北してしまい、今は、悔しい気持ちで筋トレをする日々。
周りからは、「年配者が運動部の高校生に負けるのは当然だろ。」なんて言われますが、「年配者が若者に体力で負ける」というのは、本当に当然なのでしょうか。
実際に、近所の方は、もう70歳を超えられていますが、薪割りを長時間されても平気だと言われていました。
そんな様子を見たり、江戸時代の「飛脚」や「車夫(人力車を引く人)」の体力を知ってしまったりすると、「自分はそれなりの年齢だから…」と言って、負けを認めることが、嫌に感じるのです。
江戸時代の人々の驚きの体力
江戸時代は、現代よりも食事は貧しく、人間の体に関する知識も格段に少なかったはずなのに、現代人が驚くような体力をもった人がいました。
こういうと、「車やバイクがなかったからじゃない?」と言われることもありますが、それだけでは説明がつかない程の身体能力だと思います。
その代表が「飛脚」や「車夫」です。
江戸時代に最速で手紙などを運ぶ手段は「飛脚」でした。

例えば、東京から大阪間(約550キロ)を飛脚は、駅伝のようなリレー方式で、2~3日で運んだと言われています。
もちろん、リレーのチーム人数が多くなれば、一人が受け持つ距離は短くなりますが、中には150キロも走る人もいたそうです。
しかも、舗装されていない道を。
さらに驚きなのは、これを仕事としていたことです。
現代の様に、マラソン大会に向けて練習・調整をして本番に挑むという形をとるわけにはいかないことも考慮すると、驚異としか言いようがありません。
なぜ、これほどの体力があったのか?
こうした風景を見た西洋人は驚き、その体力の秘密を知ろうとしました。
そこで、彼らは、「食事と体力の間に深い関係があるのでは?」と考え、人力車を引く車夫を対象に実験を行いました。
二人の車夫を雇い、二人の食事内容を変えて、体力の変化を見ようというものです。

昔の簡易的な実験であり、被験者も二人だったために、この実験から「従来の日本食が良い」と断定することはできませんが、私は、次男との腕立て伏せ勝負に備えて、食事を徹底管理してきました。
従来の日本食でタンパク質を多めにとってみる
現代では、「筋肉をつけるならタンパク質を意識的に摂取しよう」と言われ、プロテインの摂取が勧められますが、車夫の実験の結果も考慮して、「日本食」かつ「高タンパク・高食物繊維」を目指してみました。
◉四割麦ご飯
◉豆腐もりもりの味噌汁
◉卵と納豆
◉ごまたっぷりオクラ

これで、日本食でありながら、30g程度のタンパク質がとれ、食物繊維もまずまずありそうです。
夜ご飯は、これに魚を足した食事にすることを徹底しました。
食事制限というとつらそうなイメージがありましたが、全くそんなことも感じませんでした。
こんな生活を3ヶ月もすれば、身体が明らかに変わり、軽くなり、こんなに快適でいいの?という程でした。
ついつい標準が気になってしまう
食事の管理をしだすと、塩分なんかも気になるものです。
調べてみると、WHOは1日の塩分摂取量は、5グラム未満を推奨していました。
ところが、こんな疑問が湧いてきました。
「世界には、様々な人種があるのに、全員が同じ基準でいいの?」ということです。
昔から山奥で生活をしてきた人々にとっては、塩はかなり珍しいものであるために、たくさん摂取することには適していない身体であるはずです。
一方、私たち、日本で暮らす人々にとっては、塩は身近な存在であり、食品を保存するためにも塩を活用してきたために、多めに塩をとっても問題ない身体になっているはずです。
こんなことを考えてみると、「世界中で当たり前」と言われることも、本当なのかなぁ?と考えてみたくなります。
グローバル化がかなり進み、「〇〇の国では普通〇〇だ」という話を聞く機会も多くなりました。
けれども、本当の当たり前は、情報の中にあるのではなく、私たちの暮らしの中に隠されているような気がしてならないのです。
初の腕立て伏せ耐久勝負は、負けましたが、今日も、次回に向けて鍛えています。
でも、こんなことも考えずに、走り続けた飛脚や車夫の身体能力には、驚かされると同時に、人間の可能性を感じずにはいられません。
京都府宇治市 渋谷浩一郎
◎渋谷さんの自然についてのコラムは「自然発信基地」でもお読みいただけます
https://shizen-hasshin.e-kaiken.com/category/shizen-hasshin/