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SAiN

2024/09/30

【Featuring SAiN82[施主様からの特別寄稿]四季めぐる空気がうまい家】空気を制する?

「今年の夏は、昨年よりずっと暑いねぇ」

きっと、あなたもこんな挨拶や会話を何度もしたかと思います。
しかも、この台詞は、毎年言われていますから、暑さの新記録更新が毎年行われているということになりそうです。

私もあまりの暑さに負けそうになり、「いつになったら落ち着いた気温になるんだ?」なんて思いながら、何度も二週間天気予報を眺めたものです。

この暑さに、ちょっと心配なのが、庭の端にある山椒の木と原木しいたけです。
山椒の木は、例年より随分早く、葉が黄色くなってきました。


たった十年前くらいは…


私の住んでいる京都府宇治市の気温のデータを比較してみましょう。

西暦8月の気温

最高気温最低気温平均気温
2014年36.2℃20.4℃27.5℃
2024年39.0℃22.0℃29.2℃


これだけで、随分暑くなったとは、言いにくいですが、「39℃」なんていう数値には、驚かされました。

一方で、十年前の八月と言えば、子ども達も夏休みであったために、週末の夕方から「庭でバーベーキューでもしようか」と言って、気軽に炭を起こし、よく楽しんだものです。

ところが、今年は、夜になっても灼熱の日々です。
とてもじゃないですが、「庭でバーベキューでもしようか」なんて、言う気になれません。
それでも、家を出た長男も帰省するし、ちょっと楽しい雰囲気で迎えてやりたいと思ったのです。



室内でバーベキューをする決意!


外でバーベキューをするのがベストですが、あまりにも暑い。

「涼しい室内で、バーベキューができたらいいなぁ…」と思うのですが、問題は、煙の排気と臭いです。
いくら、消臭効果が抜群の「幻の漆喰」の家とは言っても、七輪から出る臭いを瞬時に消臭してくれません。
臭いは、二十四時間もすれば、概ね気にならない程度に落ち着きますが、食事をしている間、モクモクの煙の中にいるのも辛いものです。
最近では、煙の出にくいコンロというものもあるようですが、楽しみも兼ねているので、「やっぱり七輪で焼きたい」という気持ちを拭えません。

そこで、「焼肉店のような卓上換気扇を作ろう!」と決意したのです。


焼肉店風の卓上換気扇を作る!


卓上換気扇なんて作ったことはありません。
もちろん、本当の焼肉店みたいに本格的な配管をするとなると、日常生活に支障が出ます。

そこで、次の様な条件を満たす卓上換気扇にすることにしました。

・取り外しが簡単にできる。

・設置も簡単で、卓上周りはスッキリした状態。

・予算は一万円以内。

こう決めてしまうと、どんな構造にするのかなど考えるのが、楽しくて仕方がありません。
不思議なもので、歩いていても家やお店についている管や換気扇がどんどん目に入ってくるのです。
そして、頭の中でイメージを組み立てて、必要な材料を購入していきます。

そして、作業を開始。

アルミ板を加工するのは初めてでしたので、加工方法を調べながら、吸気口の形になるように折り曲げて行きます。
また、キッチンの換気扇のカバーは、曲線だったために、緩やかに曲がるプラスチックダンボールをカットしてみました。

予算内で揃えた材料。


空気環境を整えることの難しさを痛感

見事、完成。やってみればできてしまうDIY。


焼肉店風の卓上換気扇が出来上がりました。
いよいよ、スイッチを入れる瞬間。
緊張しながらも、スイッチを入れると、「ゴー」っと音がし、しっかりと空気が吸い込まれている感じがありました。

早速、吸気口付近にティッシュを持って行ってもピンっと立っています。

「めっちゃ、吸っているやん。」
「完璧やろ。」

こんなことを次男と言いながら、テストのために実際に焼肉を楽しみました。
確かに、煙はもの凄い勢いで吸い込まれていきます。
もちろん、部屋の空気も快適なまま。

「これで、好きなタイミングでお肉やお魚が焼けるよな。」

なんて言いながら、この日は、次男と二人で、テスト焼肉を楽しみました。

ご覧ください、このピンと立ったテイッシュ。上出来ではないでしょうか!?


数週間後、長男も帰省してきたので、家族四人揃って室内バーベキューをすることになりました。

ところが、食べ盛りの若者が今度は二人いるという状況。
次々と焼いていくと、排気が間に合いません。
我が家のリビングは、ほんのり霧がかかった様になってしまいました。

「悔しいなぁ…。もうちょっとゆっくりなペースで焼いたらどうだ。」
「別にいいやん。煙のほとんどは、ちゃんと吸ってくれているし、ちょっとくらい煙が漏れても楽しいし。」

こうしたことをやってみると、改めて心地良い空気の大切さと、制御する難しさを痛感しました。

片付けも終え、換気扇も扇風機も全力で回した部屋には、まだほんのり煙の香りが残っています。
完璧を目指すのではなく、このほんのり残った香りを暮らしの味わいと感じるのもいいのかもしれません。

一晩、扇風機を外に向け、換気扇を回しておけば、翌日には概ね臭いはとれていました。
そうなると、あの炭の香りがまた味わいたくなってしまうのも不思議なものです。

「どの位のペースで焼くのがベストか?テストしないといけないなぁ」

室内バーベキューを楽しむ口実が一つできました。

写真では「煙」が見えにくいのですが、なかなかの吸引力です。




京都府宇治市 渋谷浩一郎
◎渋谷さんの自然についてのコラムは「自然発信基地」でもお読みいただけます
https://shizen-hasshin.e-kaiken.com/category/shizen-hasshin/