創業15年設立10年を振り返って

カイケン史

第三部

「生きている木材」は如何にして創るのか。人間の体内の免疫グロブリンAを増加させるためには、その「生きている」ということが必要不可欠でもあります。

最近の木材の大半は機械乾燥が主流で、木材が「ミイラ化」され、生命力が失われています。今までの乾燥は熱を加えて行うのが当たり前の方法でした。生きた木材を生み出すためには、まず熱を加えないことです。しかし熱を加えず短い期間で効率よく乾燥させるような、そんな都合の良い乾燥方法は当時存在しませんでした。

私が考案した方法は波動を利用して木材から水を抜くという方法でした。水が波動に反応する理論を過去に学んでいた為、その理論での研究をスタートさせました。もちろん理論的に理解出来ていても、そう易々と結果が出るわけではありません。実現するには一つ一つの疑問点を解決していく必要がありました。波動=音響と捉え、木材の中に含まれる水分にクラシック音楽の波動をあてて水を抜く方法を採用し、選定する音楽、その音量、熟成庫内の温度、諸々の問題をクリアして、いよいよテストプラントの製作へと移行していったのです。

ですがなかなか図面がまとまりません。毎日、毎日悩み、シミュレーションを繰り返しますが、うまくいきません。そうこうしていると人間とは不思議な生き物だということを実感いたします。日々アイディアを生み出そうと没頭していると夢の中でもそのことを考えるようになり、ふいに答えが出ることがあります。その時もまさしくそうでした。夢に出てきたアイディアを夢中で書き起こし、それを元にテストプラントを造ることに成功したのです。

最初のテストを行い、見事含水率も20%以下まで低下。音響を聴かせ水分を抜いて熟成させる木材「音響熟成木材」が生まれた瞬間でした。

その材を調べてさらに驚きました。ほとんどの材が芯割れを起こしていなかったのです。大きく反ったり曲がったりしている材も少なく、想像以上の仕上がりでした。

さっそく様々な加工に回して建具や家具の製作にも着手。出来上がった製品も狂いが少なく、弊社の主力商品である「うづくりフローリング」も逆目が起こらず、安全な商品が造れるようになりました。床のシミが消えたり、傷が復元したりという、まさに今まで経験したことのないような奇跡とも呼べる出来事が続きました。

弊社の歴史は竹炭入りの「清活畳」の製造に始まり「幻の漆喰」、「音響熟成木材」へと、家造りの本質である安全と健康に特化した製品づくりでした。振り返ってみても、ここまで成長することが出来たのは、お取引工務店の皆様とユーザーの皆様のご理解とご協力があってこそだと実感しております。

ご恩は決して忘れません。創業15周年にあたり、恩返しの意味も含めて弊社のさつま工場をテーマパーク型の見学工場へと大改装させる事業も進行中です。この事業にあたっては以下の3つの目的を掲げております。

1 お客様への感謝の気持ちを表現

2 木育の浸透・・・子どもの教育は国の百年の計といいます。子育ては家庭や学校だけで行うものではありません。社会全体で育てていくことが大切です。物づくりの素晴らしさを大自然の中で学んでもらい、木の心を理解していただき、未来の人間形成に活用できるような施設づくりを行います。ゲストハウスには子どもたちの工作教室や野外セミナー教室を設けました。

3 木に対する思いを届けたい・・・弊社が行っている木材の入荷から出荷までの品質管理や全て手造りの商品群をお越しいただいた皆様に、見て、触って、感じていただき、我々の木に対する深い愛情を理解していただく為の施設づくりを目指します。

いよいよ6月21日にオープンいたします。日本で初めてのテーマパーク型見学工場です。「見て・触って・感じて」をテーマに、ご家族や子ども会で物づくりを楽しみながら、家造りの深みを研究してみていただきたいと思っています。

また弊社の長年の夢だった、合板、集成材、クロス等を全く使用しない、気密性や省エネ性に優れた日本で最高峰の安全で健康な住宅もお目見えしております。

ブランド名を「空気がうまい家R」とした新しいコンセプトハウスもぜひ楽しみにしていてください。

多くの人々にご利用いただき、将来の生活にお役立ていただければ幸いです!

「生きている木材と死んでいる木材」◎解説

カンナ屑に明確な違いが出ます。高温で乾燥された「死んでいる木材」は、そのカンナ屑がクルクルと丸まってしまうのが特徴です。

また逆に「生きている木材」のカンナ屑は真っ直ぐで、引っ張っても簡単には切れにくい状態を保っています。その理由としては「木材繊維が破壊されているかどうか」の違いです。

一般的には、木は山で伐採した際に死んでしまうと考えられていますが、木の「成長」が止まってしまうだけで、繊維や細胞はまだ生きているのです。木材が死んでしまうのは、腐ったり、機械乾燥で繊維が破壊されてしまった時です。

奈良の薬師寺の東塔や法隆寺の五重塔などは1300年近く建ち続けました。木が生きているからだと言えるでしょう。

[第一部]はこちらから

[第二部]はこちらから