創業15年設立10年を振り返って

カイケン史

第二部

「幻の漆喰」を開発した当初は、量産するにも設備も資金も不足していました。
どこか漆喰を製造している工場はないか、「幻の漆喰」の原料が採れる有明海の近くで探すことにしました。

運良く福岡県柳川市大和町に一軒だけ、屋根の補強や補修材を製造しているところがあると聞き、そこを訪ねることにいたしました。
しかしその工場は今にも壊れそうなくらい、プラントも錆付いていて、本当に仕事をやっているのかと思うほどの状態でしたが、何とかお願いして、製造を引き受けていただくことになりました。

少量からではありましたが、こちらから触媒液を支給して、30袋の「幻の漆喰」を製造。
性能の試験を行う為に、熊本県宇城市の(株)鶴城様にて分解テストを実施し、予想以上の素晴らしい結果を得ることができました。

この「幻の漆喰」の完成により、健康住宅造りが大躍進することとなります。

しかしながら、いくら性能が良くても簡単に買っていただけるものではありません。
まずは出来るだけお客様の元へ適正な価格でお届け出来るように、商社や問屋を通す従来のルート販売ではなく、各工務店への直接販売方式をとることにいたしました。

実績も少なく知名度もまだまだでしたので、中々一筋縄では取引に結び付けることができず、辛い日々が続きましたが、化学物質過敏症やシックハウス症候群で苦しんでいる人々のことを思うと、諦めてはダメだと自分に言い聞かせ、少しずつではありましたが、採用してくださるところも増えていったのです。

実際に使用してくださったお客様からも、「焼肉の匂いが2時間くらいで消えた」とか「鼻炎や花粉症の症状が改善した」などの喜びのお声をいただくようになりました。
さらに健康を追究していくと、家全体を健康自然建材100%にする必要があることに行き着きました。

「清活畳」と「幻の漆喰」で空気環境を創ることは出来たのですが、さらに高みを目指すならば、人間の本来の免疫力を高めることの出来る家が必要となります。 免疫力を高めるためには「生きている木材」を開発しなければなりませんでした。

「生きている木材」、つまり、木材本来の性能を生かしたままの状態で、家造りに活用できる素材を創り出すこと。
これまでの常識をまずはリセットする必要がありました。
原材料は「杉」にこだわりました。
杉には人間が毒素やウイルスから身を守るために持っている「免疫グロブリンA」を増加させる効果があります。
その効果を失わせないためには、ただ熱を加えただけの乾燥方法ではダメでした。

そして、「健康な生活は足元から」ということをテーマに取り組んだのが、健康フローリングの開発でした。
足の裏のツボを刺激するために、木目を浮き立たせる「浮造り(うづくり)加工」の質を高める方法を研究しました。
「うづくり加工」とは、杉の夏目と冬目の硬さの差を利用して、ブラシで削り、凹凸感を際立たせる加工のことです。

材の選定も重要で、様々な乾燥材を試してみましたが、中々うまくいきません。
ある製材所より、某大学で研究された燻煙木材が良いとの情報を得て、使用したこともありましたが、うづくり加工を施すには適さない材料でした。

色々な手を尽くしましたが、私の求める材にはほど遠く、木材の乾燥そのものを根本的に改革しなくては、真の素材には近付かないと、乾燥への挑戦がスタートしました。

[第三部に続く]

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